
Denmark
v.s. England
快勝
なぜイングランドのサッカーは引きつけるものがあるのだろう。正直戦前の予想としては、デンマーク相手に敗戦を喫して今年のワールドカップを終了するのではないかと思っていた。それだけ、予選3戦目のナイジェリア戦では低調なパフォーマンスを披露した。ところが、今回は前半で3−0。試合を決めてしまう。公式にはリオのゴールだが、残念ながらリオのゴールとは言えない得点と、待望のオーウェンのゴール。そして、エリクソンが信じてやまないへスキーのゴール。美しいといえるか分からないゴールが3つ決まった。しかし、得点は得点。イングランドをサポートするスタジアムは大いに揺れる。3点が決まったことで試合は前半で決定する。
鍵は両サイドだった。チェルシーで活躍するグロンキァは今大会も爆発的なスピードで左サイドを切り裂いていた。正直に言うと、ミルズには荷が重いのではないかという危惧を抱いていた。しかし、ベッカムとの連携で完全に右サイドは掌握。軍配はミルズに上がる。これは来シーズンのリーズにとってもいい事で、グロンキァに嫌なイメージを残しておければ…。
爆発したスタジアム
実を言うと後半のことはほとんど覚えていない。恥ずかしながら試合よりもスタジアムの雰囲気にのまれてしまったということが正解だろう。後半の途中ブラスバンドの演奏にあわせたいゴール裏のサポーターが突然席から離れ、通路に飛び出した。音楽に合わせて通路をはねるように踊り始めたのである。完全に勢いに乗ったサポーター"達"は我先にとそのサポーターへと続き、あっという間に通路はサポーターで覆われてしまった。通路に出たサポーターが皆で列を作り躍動を続けるのである。その喜びは、ゴール裏に留まらなかった。メインスタンドでもバックスタンドでも、1階でも、2階でもいたるところでイングランドの勢いに"乗った"人々が通路に飛び出し、リズムをとって、右に左に動き始めたのである。圧巻だった。恐らく試合に見入っている人の数は皆無だったのではないだろうか。それだけとりわけ後半のスタジアムの雰囲気は特殊だったと思う。
兵どもが夢のあと
試合終了後のイングランド・サポーターの行動は今回は多少異なる様相を呈していた。アルゼンチン戦に次ぐ試合を見せたこの新潟では、札幌のような宴は行われなかったのだ。恐らく、地理的なものもあるだろう。多くのイングランド人がその日のうちに新幹線を利用して東京へ戻ったのだと思う。しかし、それにしても、である。新潟にはまるで英国を思わせるようなナイトクラブ風の音楽空間を作り、2000円の入場料で解放していた。試合中は、大型モニターで放送していたらしいが、そのモニターにはサッカーの面影は無かった。イングランド人にとっては嬉しい趣向だったのかもしれないが、何かが違うという印象はぬぐえなかった。
そしてもう一つ、日本人である。試合終了後、友人宅へ向かう道すがら本当に多くの日本人が沿道にいた。イングランドのバスを待っているのである。残念ながら、暗闇の中をバスは速度も落とさず駆け抜けて行った様で、もちろんお目当てのベッカムの姿も見ることはかなわなかったようである。確かにワールドカップに参加するという一つのやり方なのかもしれない。が、やはり何かが違う気がした。
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素顔の筆者(左)とその友人
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さて、決勝トーナメントに入りモチベーションは前回の試合とは全く違っていた。確かに今回のような勝利を見せつけられてしまうと、このまま優勝という勢いがあるのではないかとも思わせてくれる。ただ、一方ではあっさりと敗退してしまう、そんな壊れやすい空気を同時に持ったチームに思えて仕方がない。だから3−0という勝利を収めたいまでも、私はイングランドが優勝するとは言いきれない。
そして戦前からの状態で今回のイングランドは優勝にふさわしいチームだとは思わない。私個人としては、ジェラードの離脱が決まった時点でイングランドはその権利を失ったように感じたからである(それだけジェラードの怪我は大きかった)。しかし、フランス、アルゼンチンの敗退により本命無き大会となった今、イングランドのように勢いを持ったチームがワールドカップを手にするのかもしれない。自分のチープな予想を覆してくれるよう、イングランドの躍進を期待したい。
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