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LAGAVULIN (ラガブゥーリン)

手前から:クラガンモア、アードベック、そして今回のモルトウィスキー、ラガブゥーリン

 第一回、モルト情報はラガブゥーリンです。このモルトはスコットランドの西部に位置するアイレイ島で生産される良質のウィスキーです。この島のウィスキーはかなり個性的なことで知られており、駄目な人は全く受け付けません。しかし、その個性に魅入られた人は、この島で生産される酒の虜になる事間違い無しです。この島のウィスキーの特徴を簡単に語れば、「海くさい、とか海草っぽい。または、香りが強烈」とでも行ったところでしょうか。この個性が一般人に受け入れられないと同時に個性を求めるモルト好きを捉えて放さない要因になっているのでしょう。

 この島にはピート(泥炭:ヒース等の植物が堆積して泥になったもの)が豊富にあり、それを乾燥したものを燃料として燃やしてモルトを乾燥させたりします。その際にピーとの香りがウィスキーに影響するという訳です。さらにピート層を通り抜けてくる仕込水にもピートによる濁りがあります。この蒸留所の人たちはその水(茶色く少し濁っている)で歯を磨いたりして、その水を生活用水として使用しているのです。仕込み水を取ってくる川も当然、茶色く濁っています。しかし、これがモルトに独特の個性を与える主要な要因であることには間違いないのです。

 ラガブゥーリンは香りが素晴らしいです。アイレイモルトの中で自分的にはこのモルトの香りが特に気に入っています。かつてTVで作家の村松ともみが蒸留所を訪れて、樽から20年物のラガブゥーリンを飲んだ際に香りを嗅がずにいきなり飲んだの時には画面に向かって罵倒したぐらいです。自分的にはモルトを飲む際には「香り半分、味半分」というポリシーに従っていて、香りを楽しんでこそモルトの醍醐味に迫れると固く信じて疑いません。

 自分の飲み方ですが、夏の夜に窓際にラガブゥーリンを注いだグラスを置いておきます。そうすると夜風にのってモルトの香りが涼しげな風とともに部屋に満ちていきます。この至福の瞬間を十分に楽しんだ後で、香りを口の中で十分に広げながら、余韻を楽しむように味わっていきます。喉を焼きながらウィスキーが体に流れ込んでいく瞬間は最高です。モルトをロックで(氷を入れて)飲もうとする奴がいますが、これは完全に失格です!モルトとその作り手に対する敬意が微塵も感じられません。スコットランドでは氷をモルトに入れて飲むことは女房に暴力をふるうことと同様に罪が重いと言われています。なぜなら、氷が入ると香りが完全に失われるからです。

 このラガブゥーリンに合う食べものは自分で探求した結果「マロングラッセ」です。この滋味に富んだ栗の味と砂糖に漬けられた甘さが、このモルトの深みに絶妙に合うのです。デザート系のスフレにグランマニエ、チョコレートにブランデーは良く合わせる場合が多いのですが、モルトに甘いものを合わせるというのは一般的ではないようです。しかし、このモルトに関してはこの取り合わせが最高です。ぜひお試しを。栗の収穫後、新しいマロングラッセが出回る秋の終わりから冬の初め辺りが良いでしょう。最高のものが手に入りやすいです。

 飲み終わっても、残ったモルトからの香りが10分ぐらい経って溜まってきます。最後にはグラスに溜まったその残香を必ず楽しみましょう。これもとても大切な事です。

 グラスにラガブゥーリンはもうお注ぎになられたでしょうか?では、ごゆっくりと心ゆくまでお楽しみください。(終)



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